版画は比較的 量産が容易な芸術ではありますが、版は「木」のため完成品の品質も変化します。
浮世絵は、最初に摺られる200枚を「一杯」といいます。
最初の一杯〜二杯を初摺(初版、板下ろし、摺りっぱなし)と称し、版木の状態も良く、絵師と摺師のコミュニケーションも綿密に行われるので、作品の質がとても高く、最も珍重されます。
しかし、作品の評判が良いと、三杯…四杯…と摺り増しされるため、次第に版木も摩滅します。
版木の数が減らされたり、空摺(絵の具を付けずに凹凸だけつけること)で工程を省略されるなど、品質が低下していきます。
このような状態を後摺といいます。
刺青や髪の毛の毛彫がかなり潰れて、化学顔料などが目立っている作品が多いです。
なお、初版の版元(出版社やプロデューサー)が移行した場合、その多くは後摺となります。