歌川国芳(うたがわ くによし)という浮世絵師をご存知ですか?
国芳は、江戸時代後期を代表する浮世絵師の一人で、大胆な構図やユーモラスな表現が特徴的な武者絵、動物画、戯画などで知られています。
国芳には収集家としての一面もあり、西洋の絵入り新聞なども含め、西洋画を数百枚を収集していました。
す、すうひゃくまい…?!
西洋画こそ真の絵であり、常にこれをものにしようと努力しているが、力が及ばない…(『歌川列伝』)
とため息をついていたとか。
今回は、西洋画のモチーフを用いた国芳版画を紹介・解説していきたいと思います!
ちなみに、2024年12月21日から大阪で、歌川国芳展(大阪中之島美術館)が開催されます。詳細は以下の関連記事をご覧ください。
浮世絵の中にヴィーナスって新鮮だね〜
浮世絵と西洋画の違い
そもそも、浮世絵と西洋画の違いはどこにあると思いますか?
ずばり、「陰影」と「遠近法」です!
西洋の描写では、物体の立体感をリアルに描写するために、明暗=影の表現が重要視されました。
一方、浮世絵の最大の特徴の一つは、平面的な表現です。
例えば、人や建物はりんかく線で囲まれて明確に区切られ、影は最小限に抑えられます。
これにより、強い輪郭線と鮮やかな色彩が引き立ち、視覚的に魅力的な作品が作り出されます。
また、西洋画はルネサンス以降、遠近法(パース)を取り入れ、立体感や奥行きを強調してリアルな表現を目指してきました。
二十四考童子鑑 董永(にじゅうし こうどうじ かがみ とうえい)
西洋画のモチーフを用いた国芳版画の中で最も洋風傾向の版画。
どことなく師匠・歌川広重や中国の雰囲気も加味された洋風画という感じでしょうか。
描かれているのは、
というシーンです。
色彩はほどよくモダンで心地よい雰囲気ですね。
唐土二十四孝 大舜(もろこしにじゅうしこう たいしゅん)
国芳の洋風版画の中でも、陰影や遠近感などの西洋的技法が最も顕著に現れているのがこのシリーズです。
「唐土二十四孝」とは中国の24の孝行話のこと。
1つの話につき1枚の絵を描き、合計24枚の折本仕立てにしたものが多く流通しました。
実際の中国の物語のシチュエーションとは少し異なるようで、国芳が自由に解釈しながら洋風描写で描いた作品だそう。
ゾウの分厚い皮膚の感じが、力強い陰影でよく表現されているよね〜!
まとめ
国芳の飽くなき西洋画への憧れと試みは、比較的自由な立場にいた町絵師だからできたことでした。
流派にこだわった狩野派の絵師には真似できないことであり、町絵師を生業としていた国芳は運が良かったのかもしれませんね。
2024年12月21日から大阪で、歌川国芳展(大阪中之島美術館)が開催されます。実物を見ることができる貴重な機会ですので、お近くの方はぜひ!
関西の人がうらやましいよ〜
もっと知りたい人は
川崎浮世絵ギャラリー
JR川崎駅北口直結のリバークビル3階にあるギャラリー。
4,000点を超えるコレクションを、毎月展示内容を替えて公開。
今回紹介した作品も紹介していますので、お近くの方はぜひ訪れてみては。
川崎浮世絵ギャラリー | |
住所 | 神奈川県川崎市川崎区駅前本町12-1川崎駅前タワー・リバーク3F |
TEL | 044-280-9511 |
営業時間 | 11:00~18:30 |
定休日 | 公式HPをご確認ください |
料金 | 500円 |
もっと知りたい歌川国芳 改訂版 (アート・ビギナーズ・コレクション)
歌川国芳をもっと知りたいビギナーの方でもわかりやすい解説本を紹介します。
今回紹介した以外の作品についても解説されていますので、興味のある方はぜひチェックしてみてください!
私たちは化政文化にインスパイアされた現代的音楽を制作しています。
ぜひ聞いてくださると嬉しいです。
本サイトでは、アフィリエイト広告を利用、またはプロモーション記事が含まれている場合があります